第3回 第4課目(2009年5月16日 JRA馬事公苑) ほか

大田芳栄&パーチェ

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第3回

第4課目の準備運動(2009年5月16日 JRA馬事公苑)


 

第4課目(2009年5月16日 JRA馬事公苑)

本人のコメントには「頭頸はまだ低め」とありますが、前回(4月12日)から比較すると頭頸の高さは改善されていて、格段の進歩を感じられる演技と言えると思います。速歩のショルダーインのリズムや安定性、駈歩ハーフパス、伸長駈歩から収縮への移行などには著しい変化が見られます。
前回の得点率56.476%に対し、この日の演技は61.212%、順位は参加23人馬中2位でした。

 

「本人のコメント」
頭頸はまだ低めでのめり気味ですが、以前より積極的に動いて経路を回ることができるようになりました。
まだ運動項目の入りなどはフラついたりするところもありますが、安定性は少しずつ増していました。
この頃にはフライングチェンジもポイントで扶助に遅れることも少なくなって来ました。

 

第4課目の準備運動(2009年5月17日 JRA馬事公苑)


 

第4課目(2009年5月17日 JRA馬事公苑)

前日同様リズム、弾発共に良好な速歩での演技開始。速歩の左ハーフパスの入りは前日よりも滑らかでしたが、右巻き乗りで蹄跡に戻る直前で強風のために物見をしています。それでも不規則な動きは最小限に食い止め、その後の伸長速歩での弾発や収縮への移行はむしろ前日よりも改善されています。
その後も強風の中で物見する6歳になったばかりの若いパーチェに対し巧みな扶助で制御し、その後のイレギュラーな動きは伸長駈歩での一度に留めているのは見事だと思います。
この日の演技は59.898%、順位は参加29人馬中2位でした。

 

「本人のコメント」
準備運動では停止からの発進、それは特に確認しました。普段からもやっていますが、競技前にバランスの確認(前のめりに停止するとクリアな発進にはならない)と馬の集中を高めるためにもやりました。
この日は風も強かったので強風でジャッジボックスの窓が閉まったことにより驚いてしまいました。
このようなアクシデントがあり、その後もピリピリした状態で回ることになってしまいましたが、ミスは最小限で収めることができました。

 

2009年6月3日の調教シーンから

 

成長過程の若い馬場馬が日頃どの様な運動を行なっているかはみなさんにも非常に興味のある事だと思います。

 

ウォーミングアップ

まずは低伸させての速歩ですが、顎の柔軟性の向上のためにサイドフレクションを求めているのが見えます。

 

駈歩ハーフパス、踏歩変換、歩度の伸縮

新馬に対して無理のない運動の組み立てと、丁寧で正確な扶助のお陰で一通りの運動がとても滑らかに行われていて、まさに調教の教科書を見ている様な運動です。

 

「本人のコメント」
前半の反対駈歩からのフライングチェンジでパーチェの後肢が指示に遅れたので、再び反対駈歩を整えてやり直しています。
この様に常に1つ1つの運動の正確性を重視して調教を進めて来ました。この時期トレーニングでは既に2歩毎も行なっていますしたが、これも扶助への正確な反応のためです。

 

収縮速歩、速歩ハーフパス、伸長速歩


 

収縮速歩と弾発の強化

「本人のコメント」
この頃から第5課目やセントジョージを見据えて速歩では少しつめて溜めをつくることを要求し、弾発が大きくなって来ました。
普段のトレーニングではこのように試合での項目だけではなく、少し上の運動も要求することにより、その時に出ている課目に余裕を持って臨めるようにしたいとも考えていました。
この頃から第5課目やセントジョージを見据えて速歩では少しつめて溜めをつくることを要求し、弾発が大きくなって来ました。

 

パーチェの新馬時代の第4課目とその頃の調教シーン、お楽しみ頂けましたでしょうか?
次号ではさらに上のクラスへのチャレンジの動画をお届けします。ご期待下さい。

 

(次回に続く)
企画・構成・文 河村 修(Facebook